イギリス企業年金の節税効果が凄すぎる!Salary Sacrificeの仕組みを徹底解説

どうも、Tom夫婦の旦那です。 イギリスで働いていると必ず耳にする「企業年金(Workplace Pension)」。実はこの制度に組み込まれている「Salary Sacrifice」という仕組みを使うと、日本では考えられないほどの節税効果を得られることをご存知でしょうか? 今回は、イギリスで働く方に向けて、この強力な節税スキームの仕組みと、実際にどれくらいお得になるのかを具体例を交えて解説します!
目次
イギリスの企業年金(Workplace Pension)とは?
イギリスで会社員として働くと、基本的には「Auto Enrolment(自動加入)」という仕組みで企業年金に加入することになります。自分で脱退手続きをしない限り、給与の一部が自動で年金運用に回されるシステムです。
最大のメリットは「会社からのマッチング拠出(Free Money)」があること。法律では「最低でも従業員が5%、雇用主(会社)が3%」を拠出することが定められています。
会社側拠出の相場は?
イギリスの優良企業の場合、この最低ラインを大きく上回る手厚い拠出が用意されていることがよくあります。
例えば、「従業員が5%拠出したら、会社は10%拠出する」といったケースです。自分が拠出した額以上に会社がお金を足してくれるため、これを利用しない手はありません。
これは「会社次第」としか言いようがありませんので、ご自身の会社がどうなっているかご確認ください。
最強の節税メソッド「Salary Sacrifice」の仕組み
企業年金への拠出方法にはいくつか種類がありますが、最もお得なのが「Salary Sacrifice(給与天引き)」方式です。多くの企業がこの方式を採用しています。
Salary Sacrificeの凄さは、「額面給与から年金拠出額を引いた後の金額」に対して税金が計算されるという点にあります。
所得税(Income Tax)と国民保険料(NI)が削減される
つまり、年金に拠出した分には所得税(Income Tax)も国民保険料(National Insurance: NI)もかからないのです。
年収£125,140以上のAdditional Rate(45%)層の方にとっては、この節税効果はさらに凄まじいものになりますが、今回はより現実味のあるBasic Rate(20%)とHigher Rate(40%)に絞って解説します。
【年収別シミュレーション】給与の10%を拠出すると手取りはどう変わる?
では、実際に「給与の10%」を企業年金に拠出した場合、手取りがどれくらい減るのかを計算してみましょう。
(※所得税とNIの税率は概算としてシンプルに計算しています)
年収£50,000(Basic Rate: 20%層)のケース
年収£50,000の方が、10%(年間£5,000)を拠出したとします。
- 拠出額:£5,000 ( 約 1,050,651 円 )
- 浮く所得税(20%):£1,000 ( 約 210,130 円 )
- 浮くNI(約8%):£400 ( 約 84,052 円 )
- 実際の手取り減少額:£3,600 ( 約 756,468 円 )
「将来のために£5,000貯蓄し、手取りが£3,600減る」というような状態になります。
年間で£1,400 ( 約 294,182 円 )が節約分になります。
年収£70,000(Higher Rate: 40%層)のケース
イギリスの所得税は累進課税のため、年収が£50,271を超えると税率が一気に40%に跳ね上がります(Higher Rate)。この層にとって、Salary Sacrificeの恩恵はさらに絶大です。
- 拠出額(10%):£7,000 ( 約 1,470,911 円 )
- 浮く所得税(40%):£2,800 ( 約 588,364 円 )
- 浮くNI(約2%):£140 ( 約 29,418 円 )
- 実際の手取り減少額:£4,060 ( 約 853,128 円 )
なんと、「£7,000を年金口座に回し、手取りが£4,060減る」。
年間で約£3,000 ( 約 630,390 円 )も税金等で持っていかれるはずだったお金を取り戻している計算になります。
今回は拠出額10%を例としていますが、拠出率をさらに増やして、所属税20%層のBasic Rateまで持っていくと、さらに絶大な効果を発揮します。少し極端化も知れませんが、そのケースも見てみましょう。
年収£70,000で拠出率を上げてBasic Rate(20%)まで落とすケース
Higher Rateの境界ライン(£50,270)まで課税所得を下げるには、年収£70,000のうち約£19,730(約28%)を拠出する必要があります。かなり大胆ですが、節税インパクトは凄まじいです。
- 拠出額(約28%):£19,730 ( 約 4,145,867 円 )
- 浮く所得税(40%):£7,892 ( 約 1,658,347 円 )
- 浮くNI(約2%):£395 ( 約 83,001 円 )
- 実際の手取り減少額:£11,443 ( 約 2,404,519 円 )
「£19,730を年金口座に回し、手取りは£11,443減る」という結果になります。
差額の約£8,300 ( 約 1,744,080 円 )がまるまる税金・NIの節約分です。拠出しなければ国に持っていかれるだけだったお金が、すべて自分の年金口座に積み上がっていく計算です。
またこの節税効果だけでなく、年金口座に積み立てられた資金は長期的に運用されて複利で増えていくことも大きなメリットです。
拠出した£19,730がそのまま眠るわけではなく、株式や債券などで運用されるため、数十年後には運用益も含めてさらに大きな資産になっている可能性があります。
節税+運用益の二重のメリットを享受できるのが、企業年金の真の強さです。
会社側のNI節約分が還元される神企業も!
給与が下がる(Salary Sacrifice)ということは、実は雇用主(会社側)が国に払うNI負担額も減ります。
一部の優良企業では、「会社側が節約できたNI分(約13.8%)を、さらに従業員の年金口座に上乗せして還元してくれる」という神制度を導入しています。ご自身の会社がこれに該当するか、ぜひハンドブックを確認してみてください!
企業年金に多く拠出する際の注意点
これだけお得なSalary Sacrificeですが、注意点もあります。
- 資金の引き出し制限(ロック)
企業年金は老後のための資金なので、現在55歳(今後は57歳に引き上げ予定)になるまでは原則として引き出すことができません。「今すぐ使える現金(手取り)」は確実に減るため、家計とのバランスが重要です。 - 帰国時の取り扱い
日本へ帰国する場合、年金を日本へ移管する(QROPS等)のは色々と手続きが必要のようです。基本的には「イギリスに置いたまま運用を続け、引き出し年齢に達したら日本から受け取る」ことになると考えられます。 - 額面の年収が減って見える可能性
例えば、今後住宅を購入する予定があるなど、高額なローンを利用する可能性がある場合は、審査時に、Salary Sacrificeによって、実際の給料より給料が減って見えます。タイミングや利用するパーセンテージ等は十分検討しましょう。
まとめ:手取りは減るが「総資産」は劇的に増える
イギリスのSalary Sacrificeは、合法的に税金と社会保険料を大きく削減できる最強のツールです。
特にHigher Rate(年収£50,271以上)に達している方にとっては、拠出しないと損と言えるレベルの節税効果です。
手元のキャッシュフロー(毎月の手取り)とのバランスを見ながら、可能な範囲で拠出率を上げてみてはいかがでしょうか?
















